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  • 執筆者の写真栗田力樹

Vol.2 アスリートデュアルキャリアプログラム登壇に向けて




今回は7月に開催された東京都の「インキュベーションHUB推進プロジェクト」として行われている、「アスリートデュアルキャリアプログラム」の、僕視点でのレポートを書きたいと思います。


今回はプログラムの簡単な概要をお伝えしてから、僕の感想を書きたいと思います。


三ヵ年計画の最終年の今年は、実際にデュアルキャリア(競技と仕事の両立)で歩むアスリートや、キャリア形成を行うJリーグのクラブの方を講師に、アスリートのキャリアについて考えるプログラムとなっています。


今年第一回目のプログラムに登壇していただいたのは、現役のサッカー選手である下山田志帆選手(株式会社Rebolt共同代表)と、元サッカー選手の内山穂南さん(株式会社Rebolt共同代表)です。


内山さんは引退していますが、下山田選手は現役選手として活動しながら、Reboltを立ち上げました。

同性のパートナーがいることを公言した下山田さん。そんなお二人が作ったプロダクトは吸収型ボクサーパンツ「OPT」。このプロダクトが出来上がるまでには、両氏のアスリートとして、またジェンダーに関する視点が深く関わっていました。


サッカー選手としてのキャリアに悩みながら起業

内山さんはイタリアでサッカーをしていましたが、怪我もあり日本に帰国することに。その時に自身のキャリアについて考え、サッカーで学んできたことを生かしたいという気持ちからスポーツビジネスに関わる人に会いに行ったりしていたそうです。


また下山田さんもドイツでサッカーをしていましたが、当時大学を卒業して働いている同期たちと、サッカー以外に何もない自分との大きな差を感じていました。


まず最初に行ったのが、キャリアに悩むアスリートを集めた座談会。

同じようにキャリアに悩むアスリートの座談会を行い、助けてくれる人、応援してくれる人がいることを知り、その後、次第に自分たちが本当にやりたいことが見えてきたそうです。


「株式会社とは」、「登記とは」の状況から株式会社Reboltを立ち上げます。

その時には実際に何をやるのか決めておらず、登記してから事業を考えたそうです。


「アタリマエを壊す」という軸があった中で、自分の思想を発信できない不自由さと、日本ではタブー視されがちなタトゥーをかけあわせ、最初はすぐに消えるタトゥーの販売を開始します。


しかし、商品は出来上がりますが、売り方や広め方がわからず失敗してしまいます。

この失敗から、実際にそこには問題があって、解決するために社会から必要とされている商品を作ることが必要だと気づきます。


そして、当時日本で流行り始めていた吸水型ショーツに目をつけ、自身の実体験からアスリートにもLGBTQの人にもいいものを作れると考えました。


女性アスリートはどんなに暑い夏でも、雨の日でも生理と向き合わなければならないという身体的苦痛。しかも当時はやりだしていた吸収型ショーツは女性らしいデザインのものばかりで自分たちが使いたいと思えるものではないという精神的な側面。


実際にアスリートからの声も集め、改めて必要とされているプロダクトであると認識し、生理用品としての機能性はもちろん、デザイン面にもこだわった商品ができました。

OPTの制作にはクラウドファンディングが活用され、100万円の目標金額を多く上回る600万円の支援を獲得します。


プログラムからの感想



今回のプログラムから個人的に感じた感想は大きく二つあります。


一つは自分のジェンダーに関する知識や認識の少なさ。

もう一つはネガティブな課題への向き合い方です。


まずは、ジェンダーに関する認識について。

そもそも今回のプログラムに参加するにあたって、お二人がどんな活動をされているのか調べて出てきたのが、吸収型ボクサーパンツというプロダクト。


今まで女性の身体や生理について話し合える機会ってほぼなかったし、男性からすると実体験もないテーマです。


オリンピックをきっかけに、多様性というワードに注目が集まってはいましたが、自分自身実際にLGBTQと言われる当事者の方と関わることもなかったです。

東京オリンピックにも、183人の性的少数者を公言するアスリートが参加していたことを今回のプログラムを受けて、後付けで知りました。

自分を含めて、日本全体として多様性への理解が伴っていなかったことを痛感しています。


今回は大きなテーマがその話ではなかったのですが、「実際1人の人間として関わるのには、何も変わらないじゃん」というのがお話を聞いての感想でした。

しかし、その一方で、当事者にとってはまだまだ生きづらい世の中だということを改めて感じました。


女性の身体に関すること、ジェンダーに関すること。

どちらも直接話を聞かないとわからないことですし、まだまだ理解が深まっていないからこそ、アスリートとの取り組みからは離れますが注目されるべきテーマだなと思いました。




二つ目のネガティブな課題への向き合い方について。


プログラムの中では、全てが順調だったわけではなく、お二人がここまで来るまでに様々な課題にぶつかりながらも、ひとつずつ乗り越えやっとここまでたどり着けたことがわかりました。

今回、その失敗や課題を包み隠さず話していただいたことが印象的でした。


まずは選手としてのキャリアに悩んだこと。最初に手がけたタトゥーと失敗や、OPTの製品化までにも多くに壁にぶつかり失敗してきたそうです。

しかし、失敗してもうまくいかなくても、それを素直に発信していくことで応援してくれる人や、助けてくれる人が現れるし、興味を持ってもらえる。ネガティブなことでも素直に発信していくことで、解決に近づけるということに気付かされました。


アスリートは結果が全ての世界ですし、世の中の憧れ的な注目される存在です。


しかし、僕を含めて多くのアスリートがネガティブな感情は表に出すべきでないという偏った考え方によって、カッコつけた発信ばかりになっていると気付かされました。僕はどんなにうまくいかない時でも、「次を目指して頑張ります!」ってSNSにはとりあえず書いていました(笑)


もちろん、普段応援してくれる人にネガティブなことは言えませんし、そこの加減は必要ですが、困った時に本音で打ち明けられる場所が必要ですよね。


またこの感覚は、僕自身がインターンに参加して体験したこととも繋がっており、僕にとってこのインターンがネガティブな課題をアウトプットできる場所になっていることに気がつきました。


ここで出会う人は初めましての方ばかりですが、


「今こんな競技をやっていて、選手としてもギリギリ。引退したとしても何ができるのかわからない。」


こんな悩みを抱えていると素直に伝えると、様々な角度からアドバイスをいただけます。


冷静に素直に悩みを表にさらけ出すことは、アスリートにとって難しいことですが、一つ踏み込んでみることで応援してくれる人を増やすチャンスになります。


改めて自分が今している経験が貴重であることを感じましたし、公で発信することが難しいアスリートのための環境づくりが他のアスリートのためにも必要だと感じました。


次回プログラムへ向けて



アスリートデュアルキャリアプログラムは残り一回の開催となりました。

最後の開催には、僕ともう1人のインターンの水戸ホーリーホック所属の森選手がゲストとして登壇します。

私たち2人は、それぞれ違った価値観を持って今回のインターンに参加しており、それぞれこのインターンを通して感じたことをアウトプットする機会になると思います。


現役活動をしながら、インターンを通して社会と関わる貴重な機会をいただきました。


多くの人が体験することができない時間をいただいたので、それをしっかりアウトプットできるように準備していきます。


キャリアに悩むアスリートはもちろんですし、森選手は選手としても価値を高める取り組みを行なっていたりと、あらゆる分野でスポーツに関わる人たちにこのプログラムが届いて欲しいなと思います。


参加はこちらから↓↓

https://www.ecozzeria.jp/events/special/DCPJ2021-athlete4.html






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